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| 情熱の花 |
病気がちな母は1年の半分は入院生活を送っていたでしょうか。お見舞いに行ってもだんだんと表情がなくなっていきました。その年の母の日も母は入院中でした。私自身は長男を出産して間もなくだったので連れ合いに母の見舞いに代わりに行ってくれるように頼みました。連れ合いに「見舞いに何を持っていく?」と尋ねられ、「真っ赤な薔薇」と答えました。母は薔薇好きでもありませんでしたし、また母の日に定番のカーネーションでもなく、薔薇と、それも真っ赤な薔薇と言った私に連れ合いもびっくりしていましたが、その時私は母に真っ赤な薔薇を贈りたいと強く思いました。母にもう一度豊かな表情を取り戻してほしいと願ったからです。トゲがあり強い色の薔薇は病室には相応しい花ではないかもしれませんが、母に生きる情熱を感じて欲しいとおもったからでした。姉に「病室にはもっと柔らかい色の花が常識なのに。」と非難されましたが連れ合いから「母は喜んでいたよ。」と伝えてもらっていましたので平気でした。母が亡くなってから20余年が過ぎましたが、ひそかにまっかな赤い薔薇は母の花だと思っております。
sasuke さん