子供の頃、母さんはいつも内職をしていました。首に手ぬぐいを巻いて、何やら手仕事をしていたような気がします。私は、母さんの内職が嫌いでした。もっと、母さんに甘えたかったから。 小学校にあがってから、母の日はカーネーションをあげるものだと、教えてもらいました。花屋の店先に並んだカーネーションは、兄と二人で空き缶をたくさん集めたお金で買いました。きれいそうな広告の裏に、『母さん、いつもありがとう』の言葉も書きました。 仕事をしている母さんの隣では、赤いカーネーションがキラキラと光りました。
田中絵夢 さん