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| 思い出のチューリップ |
毎年、母の日になると母は必ずある話をします。 「あなたが5歳の時にね、母の日のプレゼントに手作りのエプロンをくれたの。だーれも教えたわけじゃないのに、余り布と針と糸を使って上手に作ってあって、お母さん本当にびっくりしたわ。」裁縫が得意な母の姿を見て、私もみようみまねでチクチクと手縫いしたと言うのです。私自身はそのことを覚えてはいません。さらに母の話は続きます。「そのエプロンにはね、かわいいチューリップの刺繍もしてあったのよ。ちゃんと赤の糸でね。」もの心ついてから、母の日には毎年必ず花を贈っています。ある年は、母の好きな紫色の花だけの花束だったり、ある年はきれいな色紙でラッピングされた鉢植えだったり。そのたびに母は感嘆の声をあげ、丁寧にお礼を言ってくれます。そして必ず始めるのです。「あなたが5歳のときにね・・・」と。 どんな趣向をこらした花々よりも、あの日のチューリップが母にとっては一番のようです。
トコ さん